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神道
作法
仏教が各宗派の寺院の敷地内や、隣接する場所にお墓を建てますが、神道の場合は、神社の敷地内にお墓を建てません。ここには、仏教と神道との「死生観」の違いが表れています。
宗派によって解釈に差はありますが、仏教では死後「別の世界に生まれ変わる」「苦しみから解放される」といった考え方があるのに対し、神道では、魂を主とし、身体はその入れ物と捉え、肉体的な死は災いや穢れ(けがれ)を表すといった考え方をします。
そのため神道では、穢れたものとされる死にまつわることを遠ざけるため、神社の敷地内にお墓を建てません。神道のお墓は、神社から離れた霊園にあることが多く、新たにお墓を建てる場合、公営や民営の霊園で使用許可を取得し、建てることになります。
ただし、霊園、特に宗教が異なる寺院墓地では、神道式のお墓の建立を許可していないところもあるため、事前の確認は必要でしょう。神道専門の墓地も増えていると言われていますので、探してみるのも1つの手です。
お墓
神道においても仏教においても、「お墓を建てる」という行為自体は、祖先を敬う風俗習慣からきているため、神道と仏教のお墓の形状に大きな違いはありません。
神道のお墓の特徴としてよく見られるのは「角兜巾(かくときん)型」と呼ばれる形で、家名などが刻まれる棹石の先端がやや細くなっています。4面を斜めに切って三角形に仕上げたこの形状は、名古屋市にある熱田神宮の御神体「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)/草薙剣(くさなぎのつるぎ)」をかたどっていると言われています。三種の神器の1つである天叢雲剣は、『古事記』や『日本書紀』などの神話において、素盞嗚命(すさのおのみこと)が八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した際に、その尾から出てきたとされる神剣のことです。墓石をこの形にする理由には所説ありますが、御剣の守護にあずかるためという説や、お墓自体を神器と捉えているという説などがあります。
また、お墓の付属品にも違いがあります。神道では焼香しないため香炉を置きません。代わりに、八脚案(はっきゃくあん)、神饌台(しんせんだい)、八足(はっそく)などと呼ばれる、白木素材の8本の足で作られた、供物台を模した物置を置くのが特徴です。
またお墓に刻まれる文字ですが、「〇〇家之墓」などと仏教のお墓で刻まれることが多いのに対し、神道のお墓では「〇〇家奥津城」または「〇〇家奥都城」と刻まれることが多いです。「奥津城/奥都城(おくつき)」はもともと、日本に仏教が浸透する前の時代の「奥まった場所にある神聖な区域や城」を指す言葉で、「津」は一般信徒、「都」は神官や氏子、またはその家系の場合に使われると昔から言われていましたが、実際はそうでない場合も多く、現在では「神道式のお墓」を表す言葉として使われているようです。